2013年8月1日木曜日

「TV Show 1982」アール・ゾイ



フランスの暗黒チェンバー・ロック・バンドArt Zoydが、TV番組で行なったスタジオライヴ映像。非常にレアで貴重な記録と言えましょう。ちなみに冒頭の“歓声”はオリジナルの音にもあった効果音で、観客の声ではありません。
 
曲は1982年に2枚組で発表された4thアルバム「Phase IV」収録の「Etat d'Urgence」。このためこの映像も1982年頃のものと思われます。

[members]
Thierry Zaboitzeff(ベース、チェロ、ボーカル)
Gerard Hourbette(バイオリン、ヴィオラ)
Didier Pietton(サックス)
Thierry Willems(ピアノ、キーボード)
Jean-Pierre Soarez(トランペット、コルネット)
 
Art Zoydは1969年にフランスで結成されましたが、後の中心人物であるベースのティエリ・ザボイツェフはまだメンバーではありませんでした。その後1971年にティエリが参加、1976年に「Symphonie pour le jour où brûleront les cités」でデビューします。

1970年代後半にはHenry Cow主催のRIO(Rock In Opposition:反体制ロック)運動に参加し、そのレーベルRecommended Recordsからアルバムを出すようになります。このため“レコメン系”のバンドなどと呼ばれたりもしますね。

1980年前半と言うとバンド的には、1stの再録などを行いつつシンセサイザーなどの電子楽器を導入する次の段階へ進む前の、それまでの音楽性を完成させようとしている時期と言えるでしょう。

ティエリ・ザボイツェフの力強いベース&ボーカル、ジェラール・ウルベットの繊細なバイオリン、テ​ィ​エ​リ​ー​・​ウ​ィ​レ​ムの荒々しくも美しいピアノ、そして脅迫的な管楽器による、じわじわと迫って来るアンサンブルが強烈です。

Magmaの臭いもそこはかとなく感じさせつつ、Magmaが動ならArt Zoydは静。まさに室内楽(chamber music)的な佇まいの中に、暗黒世界を見せてくれるような音楽ですね。

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