2021年5月23日日曜日

「Song of The Marching Children live 1972」アース&ファイア(Earth & Fire)


オランダのバンドアース・アンド・ファイア(Earth & Fire)が1971年に発表した2ndアルバム「アムステルダムの少年兵(Song of The Marching Children)」から、1972年のテレビ出演した際の映像。

曲は、アルバムB面を費やした18分を越えるタイトル曲から、前半部分を抜粋したもの。


[members]
 Jerney Kaagman:リード・ボーカル
 Chris Koerts:ギター、エレクトロニクス、ボーカル
 Gerard Koerts:メロトロン、オルガン、ピアノ、シンセサイザー、フルート、ボーカル
 Hans Ziech:ベース
 Ton van der Kleij:ドラムス、パーカッション、ボーカル


そもそもは1970年に「Seasons」をヒットさせたポップ・バンドで、2ndからプログレッシヴ・ロック・バンドに変わりますが、その後またポップ・バンドに戻り、ディスコ調の「Weekend」というシングル・ヒットを飛ばします。
 
「アムステルダムの少年兵」は、次作「アトランティス」(1973)とともに、プログレッシヴ・ロック作品として、高く評価されているものです。特に1971年という、まだまだイギリスでもメロトロンを使っていたバンドは少数だった時期に、メロトロンを大々的に使用したことは、大きな特徴と言えるでしょう。

テンポは少しゆっくり目でしょうか、でも忠実にそして丁寧に、アルバムを再現していることが分かります。基本がポップなので、大作になっても、メロディ&歌がしっかりしているところが魅力です。ジャーニー・カーフマンの力強いボーカルが良いですね!


2021年5月19日水曜日

「Ciclos(シクロス/四季)1975」抜粋 ロス・カナリオス(Los Canarios)

 
スペインのLos Canariosが1975年にrtve(スペイン放送協会)というスペインの公共放送の番組に出演した際の映像。
 
曲はヴィヴァルディの協奏曲集「四季」を大胆にアレンジした大作「Ciclos(シクロス/四季)」(1974)からの抜粋です。


[members]
 Eduardo "Teddy" Bautista:キーボード、ボーカル
 Antonio Garcia de Diego:ギター、ビブラフォン、スピネット、ボーカル
 Mathias Sanvellian:キーボード、バイオリン
 Christian Mellies:ベース
 Alain Richard:ドラムス、パーカッション
 
[setlist]
1. 「第一の輪廻:遥かなる楽園」抜粋
2. 「第四の輪廻:回復された環」抜粋
 

ロス・カナリオスはこれ以前にアルバムを3枚出していて、ブラスの入ったロック・バンドだったのですが、リーダーのバウティスタが兵役につくことになり、一旦解散します。

その後、バウティスタが新たなメンバーを集め、のちの素晴らしいソロ・アルバムを出すことになるアルフレッド・カリオンをアレンジャーにして作り上げたのが、以前の音楽とはまったく違ったこの「Ciclos」でした。

正直なところ、演奏は当て振りですし、そのためか風景のスチール映像ばかりが目立ちますので、演奏の様子はほとんど分かりません。

ただ、リーダーのテディ・バウティスタによる、このアルバム制作のためだけのプロジェクト的なバンドだったと思われますので、バンド活動はほとんどしなかったのではないでしょうか。アルバム自体が、スペイン国立歌劇団やオーケストラの協力を得たり、SEを多様したりと、強力なスタジオワークのたまもののような作品なので、そもそもライヴをする予定はなかったのかもしれません。

と考えると、実にレアで貴重な映像だと言えるでしょう。
 
ちなみに、バウティスタは、これ以前はボーカル&ギターだったのですが、ここではまるでリック・ウェイクマンのようにまわりにキーボードを並べています。バンドを一旦解散したあとに、〝プログレッシヴ・ロック〟に触れて、自分もこれがやりたくなったのではないかと、勘ぐってしまいたくなるような、ちょっと微笑ましい光景です。

とは言え、もちろんアルバム自体は、よくぞ作ってくれましたと言いたいほどの大傑作です。

ちなみにトリアナの1st「El Patio」(1975)がリリースされ、やがて〝アンダルシアン・ロック〟の波が起こるのは、まだ先のことです。


2021年5月10日月曜日

「バタクラン・ライヴ 1973」カン(CAN)


ドイツのバンド、カン(CAN)が、フランスのパリのバタクラン劇場で、1973年3月に行ったライヴ映像。

[members]
Holger Czukay:ベース
Michael Karoli:ギター
Jaki Liebezeit:ドラムス
Irmin Schmidt:キーボード
Damo Suzuki:ボーカル

[setlist]
1. Spoon
2. Pinch
3. Sing Swan Song

曲はすべて4th「Ege Bamyyasi」(1972)収録曲です。

「Monster Movie」(1969)でデビューした時には、ボーカルにマルコム・ムーニーを迎え、トライバルなビートとマルコムの持つリズム感を活かし、同じリズムやフレーズを延々とくり返しながら、プリミティブなグルーヴを生み出していたカン。

続くアルバム「Tago Mago」(1971)でボーカルがダモ鈴木に交代し、アナログ2枚組で10分以上の大作を3曲も収録しましたが、続く「Ege Bamyyasi」では曲がコンパクトにり、ある意味とっつきやすくになりました。

そして「Spoon」は先行シングルとしてリリースされ、ドイツのチャートで6位に入るヒットソングになるのです。

どの曲もアレンジやテンポがアルバムと異なり、即興の迫力が半端なく、特にJaki Liebezeitの叩き出すビートが素晴らしいです。

思いの外聞き入ってしまったのが、Michael Karoliのギター。全体がカッチリしたアンサンブルになることを拒むかのような、先の読めないアナーキーなプレイが最高でした。

そして混沌としていて荒々しいラスト。Irmin Schmidtのブチ切れたようなキーボードが印象的でした。