2013年12月29日日曜日

「Jamming in the Studio 1971」ファウスト



ドイツのバンドFaustが1971年にスタジオで行った非常にレアなライヴ映像で、WRD(西ドイツ放送局)が「Faust jamming in the studio, 1971」というドキュメンタリーとして記録したものとのこと。

曲は前半が1st「Faust」収録の「Miss Fortune」のさわり、後半がローテンブルク(ヴュンメ)でのスタジオ・ジャム・セッションと思われます。

[members]
Werner "Zappi" Diermaier(ドラムス)
Hans Joachim Irmler(オルガン)
Arnulf Meifert(ドラムス)
Jean-Hervé Péron(ベース)
Rudolf Sosna(ギター)
Gunter Wüsthoff (サックス、シンセサイザー)

アヴァンギャルド・ロックとかエクスペリメンタル・ロックなどと語られることが多いと思われますが、映像を見る限りは演奏はいたってシンプルで“普通”な感じです。

しかし近年こそドラム缶をチェーンソーでガァ〜とか、ナタでTVをドシャ〜!みたいなステージも行っているFaustですが、元々は決して過激で難解なノイズや破天荒なパフォーマンスで売っていたバンドではありませんでした。

初期のアルバムで見せた個性は、ポップとも言えるシンプルなサイケデリック・ミュージックを元にした卓越したサウンドコラージュにあったと言えるわけですが、その要素である演奏自体にも大きな魅力があるバンドです。こうして淡々と演奏する姿は意外ではないのかもしれませんね。

ちなみにfaustとは英語のfist、拳のこと。1stアルバムに写っている写真ですね。


2013年12月28日土曜日

「Live in 2007」アフター・クライング


1986年結成のハンガリーのバンドAfter Cryingが、2004年12月にBudapestで行ったコンサートのフル・ステージを収めた、2時間近くに渡る映像。


[members]

Bátky Zoltán(ボーカル)
Winkler Balázs(トランペット、シンセサイザー)
Lengyel Zoltán(ピアノ、シンセサイザー)
Pejtsik Péter(ベース、チェロ)
Torma Ferenc(ギター、シンセサイザー)
Madai Zsolt(ドラムス、パーカッション)
Egervári Gábor(フルート、コンサート・サウンド)
Görgényi Tamás(コンセプト)

[set list]

1. Intro
2. Viaduct
3. Remote Control (Invision/News/Media Overdose)
4. Globevillage at Night
5. New World Coming
6. Paradise Lost
7. Secret Service
8. Jonah’s Prayer
9. Good Night (Good Night I./Red Night/Good Night II.)
10. Don’t Betray Me
11. Technopolis/Setup
12. Burlesue
13. Stonehenge
14. Conclusion
15. Band Introduction – Setup Reprise
16. Farewell I.
17. Life Must Go On
18. Arrival of Manticore II.
19. Confess Your Beauty (excerpt)
20. Cello-Guitar Duet
21. Piano Solo
22. Drum Solo
23. Viaduct – Reprise
24. Farewell II.

当時の最新アルバム「Show」(2003)の楽曲を中心に過去作の代表曲を網羅した内容で、After Cryingの凄さをとことん堪能できます。

ステージでフルに演奏を繰り広げるのは6人。キーボードを3人が弾きますが、キーボード専任はレンニエル・ゾルタンだけで、トルモ・フェレンツはロバート・フリップ張りの緊張感あふれる素晴らしいギターを弾き、ヴィンクレー・バラッシュは片手でキーボードを弾きながら片手でトランペットを吹きます。またベースのペイチック・ピーテルはチェロも弾き、ダブルベースのようなプレイも見せてくれます。

とにかく全員がテクニシャンですが、それが超絶ソロを弾きまくるのではなく、それぞれの楽器の音やアンサンブルの安定感とか美しさから感じられるのが凄いところ。ヴィンクレーの片手トランペットの音の良さなんて素晴らしいの一言です。

クラシック音楽という下地のあるプレーヤーばかりということもあるのでしょう、メンバーは譜面を見ながらプレイします。それでもロック的躍動感は損なわれることはありません。中でもトルモのギターは、豊潤で平和なアンサンブルにヘヴィ・ロック的な緊張感を加えてくれる大きな役割を担っていると言えそうです。

すでにベテランバンドでありますが、2011年には傑作「Creature」を発表し、現役プログレッシヴ・ロック・バンドの最高峰の一つであることを示してくれました。

2013年12月21日土曜日

「Amico Flauto 1972」PFM



イタリアのPFM(Premiata Forneria Malconi)が1972年にイタリア国営放送(RAI)の番組「Amico Flauto」に出演した際のTV映像。

曲は1st「Storia Di Un Minuto」(1971)収録曲「Dove...Quando...(Part 2)」。

[members]
Flavio Premoli(キーボード、ボーカル)
Giorgio Piazza(ベース、ボーカル)
Franz Di Cioccio(ドラムス、ボーカル)
Mauro Pagani(フルート、ピッコロ、バイオリン、ボーカル)
Franco Mussida(ギター、メロトロン、ボーカル)

1971年にデビューアルバムStoria Di Un Minuto」、1972年「Per Un Amico」発表後で、マンティコアからの英語版「Photos Of Ghosts」(1973)前という、バンドの歴史最初期にあたる時期の映像となります。

フラヴィオ・プレモリが司会者にメロトロンやムーグ・シンセサイザーの解説をしているのが面白いですね。こうした機材がまだまだ珍しい時期だったことが分かります。プレモリがスポークスマンという感じでしょうか。

しかしそうした“先進的”な楽器に頼ることなく、生ピアノを流麗に弾き始めるプレモリの演奏が素晴らしいですね。マウロ・パガーニはフロントマンとしてバイオリンにフルートに活躍します。終盤まで出番がないギター・マエストロのフランコ・ムシーダは、メロトロンとムーグで曲をドラマチックに盛り上げています。

ラストのバンド一体となった美しくもスキのないアンサンブルが見事です。ハッタリのないPFMの豊かな音楽性が広がります。


Areaからパトリック・シヴァス(Patrick Djivas)を迎える以前の、ジョルジオ・ピアッツァがベースを弾いている映像としても、貴重なものだと思われます。

     

2013年12月13日金曜日

「Rock en Stock - French TV 1972」キャラバン



イギリスのバンドCaravanが1972年にフランスのTV番組「Rock en Stock」に出演した際のスタジオライヴ映像。放送は1973年。

曲は4th「Waterloo Lily」(1972)からの大作「The Love in Your Eye」。

[members]
Pye Hastings(ギター、リードボーカル)
Richard Coughlan(ドラムス)
Geoffrey Richardson(ヴィオラ)
Derek Austin(キーボード)
Stuart Evans(ベース)

「Waterloo Lily」発表後、キーボードのスティーヴ・ミラー(Steve Miller)とボーカル&ベースのリチャード・シンクレア(Richard Sinclair)が脱退したため、キーボードにデレク・オースティン、ベースにスチュアート・エヴァンスを迎えて、精力的なツアー活動に臨みます。

「Waterloo Lily」はスティーヴ・ミラーの影響で、Caravanのアルバム中一番ジャズ色が強いと言われますが、一方でリチャード・シンクレアがボーカルを取る曲が1曲のみで後はパイ・ヘイスティングがボーカルを担当するなど、パイ・ヘイスティングス色が強まったアルバムでもあります。ここでも彼を中心としたバンドという雰囲気が漂っています。

ちなみにスティーブ・ミラーは、ギタリスト、フィル・ミラー(Phil Miller)の兄。スティーヴを介してフィルとリチャード・シンクレアが知り合って、Hatfield & the Northが結成されることになります。

アルバムではジミー・ヘイスティングス(Jimmy Hastings)の目の覚めるようなフルート演奏も入り、スティーヴのエレクトリック・ピアノが大きなアクセントになっていますが、ここでは新加入のデレクはオルガンに徹し、ジェフリー・リチャードソンのヴィオラがすでに大活躍していて、次作「For Girls Who Grow Plump In The Night」(1973)に近いバンド・アンサンブルになっているのが面白いですね。

この後1973年になるとベースはジョン・G・ペリー(John G. Perry)に交替、そしてキーボードにはデイヴ・シンクレア(Dave Sinclair)が復帰することになります。

2013年12月5日木曜日

「TV Show 1972」イ・プー



イタリアのラヴ・ロック・グループ、I Pooh(イ・プー)が、国営放送RAIで行なったTV放送用スタジオライヴ。リッカルド・フォッリ(Riccardo Fogli)在籍時なので、第5作「Alessandra(邦題:ミラノの映像)」発表の1972年頃の映像だと思われます。

曲はオーケストラとの共演で「Alessandra」(1972)から「Noi Due Nel Mondo e Nell'anima(邦題:愛のルネッサンス)」。

[members]
Roby Facchinetti(ボーカル、キーボード)
Dodi Battaglia(ボーカル、ギター)
Riccardo Fogli(リード・ボーカル、ベース)
Stefano D'Orazio(ボーカル、ドラムス)

華麗なピアノと弦楽器によるイントロに導かれて、冒頭ロビー・ファキネッティの弾くミニムーグ・シンセサイザーが太い音を奏でますが、当時このミニムーグをいち早く取り入れたことでも注目された曲とのこと。ロビーのヒゲが珍しいですね。

イ・プーはとにかく全員が取るボーカルが強力で、そのユニゾンやハーモニーが力強く美しいのですが、同時にシンプルなのにうっとりしてしまう甘いメロディーも大きな魅力。この曲「Noi Due Nel Mondo e Nell'anima」は、その両方が詰め込まれた、正に名曲中の名曲と言えるでしょう。

この当時はオーケストラを大胆に起用したアルバム制作を行なっていて、ツアーもオーケストラを帯同する大規模なものだったようです。それでも決してコーラスグループではなく、ポップ・ロック・バンドとして堂々とステージに立っていたことが伺われます。

基本的にラヴ・ロック・バンドですが、特にこの時期のオーケストラとの一体感は格別で、その壮大で流麗なサウンドはプログレ・ファンの人気も高いですね。

リッカルド・フォッリ在籍時の貴重な映像ですが、この後彼は1973年にバンドを離れソロ活動の道へと進みます。バンドは新たにレッド・カンツィアン(Red Canzian)を迎え、プログレ作としても人気がある次作「PARSIFAL」以降のさらなる快進撃が始まることになります。

2013年11月28日木曜日

「Saint Quentin 1976」マグマ



フランスのバンドMagmaがフランスのTV番組で取り上げられた際の映像。インタビューをはさみながら1976年2月にサン・カンタン(Saint Quentin)で行なわれたライヴの様子を見ることができます。

[members]
Christian Vander(ドラムス、ボーカル)
Stella Vander(ボーカル)
Klaus Blasquiz(ボーカル、パーカッション)
Gabriel Federow(ギター)
Bernard Paganotti(ベース、ボーカル)
Benoit Widemann(キーボード)
Didier Lockwood(バイオリン)

[set ]
1. Köhntark
2. Theusz Hamtaahk
  ※ いずれも抜粋

この1976年1月〜3月のツアー・データによりますとキーボードにはBenoit WidemannとPatrick Gauthierの二人がクレジットされていますが、映像を見る限りキーボード奏者は一人です。正面からのショットが無いので分かりづらいのですが、恐らくBenoit Widemannではないかと思われます。

何より素晴らしいのは、傑作「Live」(1975)収録時のメンバーによるライヴ映像であることでしょう。ディディエ・ロックウッドの凄まじいバイオリンが聴けるラインアップで、「Live」にも収められていたKöhntark」のクライマックス部分を見ることができます。

甘いマスクロックウッドと恐ろしげなMagmaという取り合わせが興味深かったこともあるのでしょう、カリスマ的なリーダーであるクリスチャン・バンデに加えて、この時点で20歳だった初々しいディディエ・ロックウッドもインタビューされています(ロックウッドの生年月日は1956年2月11日なので、「Live」収録の1975年に“17歳”だったと書かれていたりすることがあるのは誤りです)。

そもそもMagmaの曲はどれも長いので仕方ないかと思われますが、インタビューをはさんだライヴ映像と言うよりは、ライヴ映像をはさんだインタビューという趣きです。インタビュー内容も気になりますが、やはりライヴ演奏のフル映像がぜひ見たいところですね。

観客の気配が感じられないことや、映像のラストで演奏が唐突に終っている感じがすることなどを考えると、ライヴそのものではなくリハーサルの映像なのかもしれません。

それでもMagmaというバンドの共同体的な異質さや、完璧なアンサンブルによってもたらされる呪術的な高揚感は、リズムに乗って身体を揺らすメンバー達の姿を実際に見ることによって、さらに強烈に伝わってきます。

2013年11月23日土曜日

「Central Park 1973」キング・クリムゾン



King Crimsonが1973年6月25日にNew YorkのCentral Parkで行なったステージのライヴ映像。アメリカかイギリスのTV局が、放送用として撮影したのではないかと思われるプロ・ショット映像です。

この時のメンバーの、TV用スタジオ・ライヴではなくツアーでのステージの様子をクリアーに捉えた映像としては現時点で唯一。大変貴重な映像だと言えます。

[members]
Robert Fripp(ギター、メロトロン)
John Wetton(ベース、ボーカル)
David Cross(バイオリン、ビオラ、メロトロン)
Bill Bruford(ドラムス、パーカッション)
  
[set list]
1. Easy Money
2. Fragged Dusty Wall Carpet(Improvisation)

1973年2月10日にパーカッションのジェイミー・ミューア(Jamie Muir)がすでに脱退しているので、「Larks' Tongues in Aspic(太陽と戦慄)」(1973年3月23日リリース)とは異なる、残り4人によるステージの模様です。

バンドは「Larks' Tongues in Aspic(太陽と戦慄)」発売に伴ったツアーを大々的に行ないますが、6月25日と言うと、イギリス、ヨーロッパに続いて4月18日から7月2日にかけて行なわれたアメリカ・ツアーの終盤。曲にもステージにも慣れてきた時期の貴重な記録と言えるでしょう。

当日の音源などで確認すると、どうやらステージは1時間と決められていたと思われ、後半のインプロヴィゼーションは、通常なら「Easy Money」から怒濤のになだれ込むところが、約5分程度の“ショート・バージョン”となっています。

それでも終始暴力的と言えるほどハイ・テンションなフリップのギター、豪快でテクニカルなジョン・ウェットンのベース、サウンドに変化と厚みを加えるデヴィッド・クロスのメロトロン&バイオリン、そしてアイ・コンタクトしながら奔放に叩きまくるビル・ブルーフォードと、全員が自信に満ち、音に力強さが溢れていますね。ゾクゾクするような素晴らしいステージ風景です。

尚この映像は2011年に正規盤「暗黒の世界 / 40周年記念エディション」のDVDサイドにボーナス映像として収録されました。ただし本映像はそれとは異なり、映像調整用カラーバー部分約10秒を含んだ“完全版”とのことです。

2013年11月21日木曜日

「Saxinette & clarophone 1975」マネイジュ



カナダのバンドManeige(マネイジュ)が1976年にケベックで行なったTVライヴ映像。

冒頭のタイトルの「Saxinette & clarophone」は2ndアルバム「Les Porches De Notre-dame」(1975)収録曲「Les Aventures De Saxinette Et Clarophone」からのもの。従って演奏された曲もこの2ndを中心とした構成と思われますが、残念ながら特定できませんでした。ちなみに映像そのものが抜粋で、完全版ではないとのことです。

[members]
Alain Bergeron(ピアノ、フルート、サックス)
Jrome Langlois(クラリネット、ピアノ、ギター)
Vincent Langlois(ピアノ、パーカッション)
Yves Leonard(ベース、コントラバス)
Gilles Schetagne(ドラムス、パーカッション)
Denis Lapierre(ギター)
Paul Picard(パーカッション)

ギターのデニスとパーカッションのポールは、アルバムではゲストとして参加していたメンバーです。

テクニカルなインストゥルメンタル・アンサンブルですが、非常に個性的なサウンド。ジャズ・ロック的なインプロヴィゼーションや派手なソロはほとんど無く、フュージョン的な明るいノリとも異なり、室内楽風な雰囲気もありながらチェンバーミュージック的小難しさや暗さは無く、クラシカルな中にロックなダイナミズムも感じられるという、非常に面白いサウンドです。ほのかにユーモアが漂う部分もあり、カンタベリー的な面白さに近づく場面も見られます。

このムービークリップではフルートが比較的メインの扱いで、クラリネット、サックスの出番が少ないようですが、フルートがメインのバンドという訳ではありません。

アランとジェロームを中心に1972年に結成され、1983年まで活動を続けて、7枚の公式アルバムを発表しました。

2013年11月18日月曜日

「POPGRAMA 1979」ザ・クラック



スペインのシンフォニック・ロック・バンドThe Crack(ザ・クラック)のスタジオ・ライヴ。1977年から1981年までスペイン国営放送(TVE)で放送されていたカウンターカルチャーを扱った番組「POPGRAMA」出演時の映像です。唯一作「Si Todo Hiciera Crack」(1979)が発表された1979年のものと思われます。

曲はその「Si Todo Hiciera Crack」の冒頭曲「Descenso En El Mahellstrong」。

[members]
Alberto Fontaneda(フルート、ギター、ボーカル)
Mento Hevia(キーボード、ボーカル)
Rafael Rodriguez(ギター)
Alex Gabar(ベース)
Manolo Jimenez(ドラムス)

スタジオ・ライヴのように装っていますが、実はアルバムの音を使った、ちょっと荒っぽい当て振りです。映像と音のズレを考慮しても音に手の動きが合っていないキーボード&ドラムス、カメラを向けられた瞬間驚いたようにアクションが派手になるベース、一人気を吐くフルート、ほとんど写らないギター。

ヘッドセットまでしてスタジオに陣取っている割には映像の作りが雑ですが、でもそのちょっとユルいところも、またスペインらしい大らかな感じがすると言えるかもしれません。

彼らのサウンドの特徴は、フラメンコ色のないファンタジックなサウンド。アコースティック楽器を活かしたアレンジとメロディーが美しく、演奏もタイトでしっかりしたテクニックと音楽性を感じさせます。

実験や冒険といったものを求めていた1970年前半の音とは異なり、1979年という時期を感じさせるとても落ち着いたまとまりのある音ですね。派手なことはしていないのですが、フュージョンにはならないドラマチックなアンサンブルの心地良さは絶品です。

2013年11月16日土曜日

「RTVE Show 1977」アイスバーグ(イセベルグ)



スペインの超絶ジャズ・ロック・バンドIceberg(アイスバーグ)が、スペイン国営放送局(RTVE)の番組で1977年に行なったスタジオライヴ。

[members]
Joaquím "Max" Sunyer(アコースティック&エレクトリック・ギター)
Josep "Kitflus" Mas(エレクトリック&アコースティック・ピアノ、シンセサイザー)
Jordi Colomer(ドラムス)
Primitiu "Primi" Sancho(ベース)

[set list]
1. Joguines
2. Allegrias del Mediterraneo

演奏されているのはどちらも3rdアルバム「Sentiments」(1977)に収録されている曲。曲順もそのままでアルバムのラストを飾る2曲です。

1stアルバム「Tutankhaon」(1975)制作時には専任ボーカリストがいてギターのヨアキム・マックスもボーカルを取っていたので、英語&スペイン語による歌やコーラスを含んだシンフォニックな面がありましたが、ボーカリストは1stのみで脱退。その後は一気にハードなジャズ・ロック路線に突き進むことになります。

そこで完成させたこの3rd「Sentiments」は、年代的にはクロスオーヴァー&フュージョンの台頭に呼応したかのようなオールインスト作ですが、ロック寄りの作品を出していたReturn to ForeverやMahavishnu Orchestra、さらにはちょうど同時期に活躍していたBrand Xのように、フュージョンと言うにはロック的な荒々しさが残るジャズ・ロックの傑作となりました。

流れるようなギターと、それに負けじとユニゾンを仕掛けるジョセフのキーボードのスリリングなアンサンブルや、自由奔放に弾きまくる両者のソロ・パートなど、最初から最後まで全く緩むことのない緊張感の連続。「Joguines」で見せるスペインらしさも良いアクセントになっています。

一糸乱れない演奏は、リズム・セクションの素晴らしさも物語っていますね。特に熱いディストーション・ギターの音とともにロックなストレートさを感じさせる、ジョルディのドラミングがまた魅力です。

2013年11月9日土曜日

「TV Live 1972」レアーレ・アカデミア・ディ・ムジカ



イタリアのバンドReale Accademia Di Musicaが、1972年にイタリア国営放送(LAI)に出演した際のスタジオライヴ映像。

曲は1st「Reale Accademia Di Musica」(1972)のラスト曲「Vertigine」。

[members]
Federico Troiani(キーボード)
Gianfranco Coletta(ギター)
Henryk Topel Cabanes(リード・ボーカル)
Pierfranco Pavone(ベース)
Roberto Senzasono(ドラムス、パーカッション)

Reale Accademia Di Musicaは1972年に結成、同年1stアルバムを発表しますが、同じ1972 年のこのTV出演時にはすでにギターがニコラ・アグリミ(Nicola Agrimi)からジャンフランコ・コレッタに交替しています(間にさらに一人ギタリストが在籍していた模様)。そのなこともあってか、このライヴではギターはまだアルバムほどの自己主張をするには至っていない感じですね。

1st発表後の1973年には実質バンドは崩壊してキーボードのフェデリコとドラムスのロベルトだけが残り、翌1974年にアドリアーノ・モンテドゥーロ(Adriano Monteduro)というカンタトーレ・ギタリストとの共作「Adriano Monteduro & Reale Accademia di Musica」を出して解散することになります。
  
バンドとしては非常に短い期間しか存続しなかったわけですが、その音楽はボーカルのヘンリク・トペルのジェントルな声質もあって、哀愁溢れる上質なシンフォニック・ロック。中でも安定したリズム・セクションの上で奏でられるフェデリコの厚みと深みのあるキーボードが印象的です。決して派手ではないのですが、彼のプレイからは全体を包み込みリードする音楽的豊かさが感じられます。

ところがなんと近年、2ndアルバムの未発表音源が「La Cometa」として発掘され、2010年にダウンロードで、2013年にCD&LPでリリースされました。フェデリコ、ヘンリク、ジャンフランコら1stのメンバーがほとんど顔を揃えた音源とのこと。
  

2013年11月2日土曜日

「Live at Lucerna 1971」モードリィ・イフェクト



チェコのバンドModrý Efektが、1971年にスイスのルツェルンで行なったプラハ・ジャズオーケストラとの共演ライヴ映像。

[members]
Radim Hladík(ギター)
Jiří Kozel(ベース、
Lešek Semelka(キーボード)
Vlado Čech(ドラムス、パーカッション)

[set list]
1. Popinavy Brectan
2. Má Hra

1969年にバンドが結成されたBlue Effectは、Modrý Efekt、 M Efektと名前を変えつつ1981年まで活動し、近年再びBlue Effectとして復活してライヴ活動を行なっている、チェコを代表する息の長いロック・バンドです。
 
Modrý Efektとして1971年に「Nova Syntheza」を発表しますが、これが何とチェコスロバキアン・ジャズ・オーケストラというジャズ・ビッグ・バンドとの共演という、プログレッシヴ・ロック界でも非常にレアな内容のジャズ・ロック・アルバムでした。

映像はその1971年、恐らくアルバム発表に前後して行なわれたコンサート映像と思われ、アルバム「Nova Syntheza」収録の2曲が演奏されています。

映像でも分かるように、ギターのラディム・フアディックを中心に、ハードロックバンドとジャズ・ビッグ・バンドが見事に融合した迫力満点なサウンドが素晴らしいですね。管弦オーケストラとの共演は数々のバンドが試みていても、ジャズ・ビッグ・バンドとの共演は他に例がないと思われますが、実に新鮮で見事な演奏です。

ジャズ・ギター奏法も取り入れた高度なテクニックと力強さで、パワフルなブラス・セクションと堂々と渡り合うラディムのギターがとにかく素晴らしいですが、非常に計算され両者を巧みに融合させながら次々と展開していく楽曲そのものもとても魅力的です。

ジャズ・バンドのメンバーの醸し出すラフな雰囲気も、バンド同士が対等にぶつかり合う荒々しさに通じていて良いですね。

「Nova Syntheza」は現在入手困難なため、同様な手法でビッグ・バンド・オーケストラと共演しながら、より洗練された次作「Nova Symtheza II」(1974)をご紹介しておきます。

「Live at Filmhuset 1975」トレッティオアリガ・クリゲット



スウェーデンのハード・プログレッシヴ・ロック・バンドTrettioåriga Krigetが、スウェーデンのストックホルムにあるFilmhusetで1975年に行なったTV用ライヴ映像。

曲は1st「Trettioåriga Kriget」から「Kaledoniska Orogenesen」。

Stefan Fredin(ベース)
Christer Akerberg(ギター)
Robert Zima(ボーカル、ギター)
Dag Lundqvist(ドラムス、メロトロン)

1970年に結成され1974年にアルバムデビューしたTrettioåriga Krigetは、基本的なサウンドはギターとベースがグイグイと引っ張るハードロックと言えそうですが、せわしない展開とタイトなリズムチェンジなどは、リッケンバッカー・ベースの音もあって初期のYesにも似ています。

演奏されているのはデビューアルバムの冒頭を飾る曲。アルバムではまるでKing Crimsonの「21st Century Schizoid Man」のラストを引き継ぐかのように曲が始まるのが印象的です。

この映像でもステファン・フレディンのベースの安定感と存在感が抜群で、ダグ・ルンドクヴィストのドラミングがかなりタイトなので、ハードロックと言うにはアンサンブルの素晴らしさが出色。クリステル・オーケンベリのギターも弾きまくるというよりはソロにバッキングにと多彩に曲を盛り上げます。

ロベルト・ジーマのボーカルは、ハイトーン・スキャットがブリティッシュ・ハードロックを思い起こさせてくれますが、歌自体はスウェーデン語ということもあって、比較的マイルドな印象。それがまた曲に叙情を与えているとも言えそうです。

全員がテクニシャンであり多用する変拍子も大きな魅力ですが、熱くなり過ぎずにどこか冷たく暗い感じが漂っているのが北欧らしいですね。

2013年10月31日木曜日

「Live in Lyon 1975」ピュルサー



フランスのバンドPulsarが、1975年にフランス南東部の都市リヨンで行なったライヴの映像。

曲は傑作2nd「Strands of the Future」(1976)収録の22分を越える大曲「Strands of the Future」からの抜粋。

Victor Bosch(ドラムス)
Michel Masson(ベース)
Gilbert Gandil(ギター)
Jacques Roman(キーボード)
Roland Richard(フルート、サックス、キーボード)

メンバーは1st「Pollen」(1975)年時の5人編成なので、まだ「Strands of the Future」発売前のこの時点ですでに大曲「Strands of the Future」がある程度完成していたことが分かります。

この後ベースのミッシェルが脱退し、「Strands of Future」はキーボードのジャック・ローマンがベースを担当して完成します。その後再びミッシェルが加入し、大傑作「Halloween」(1977)生まれることになります。

強烈なサイケデリック感を醸し出すファズギター、スペイシーにうねるシンセサイザーにメロトロン、エコーが響くフルート、そしてリズムセクションによるタイトな変拍子。いわゆるドラッグ的なサイケデリックよりはもっと洗練されていて、構築性が高いのにコズミック感が強いサウンドというのは、実はありそうでなかなかないもの。

このライヴの映像は別のものもアップされているので、ぜひフルコンサート・映像が見てみたいものです。

2013年10月24日木曜日

「LIve at Bremen 1972」キング・クリムゾン



King CrimsonがドイツのTV番組「Beat Club」用に行なったドイツのブレーメンにあるBeat Clubでのライヴ映像。

曲は「Larks Tongues in Aspic」(1973)収録の「The Larks' Tongues in Aspic part I」。

[members]
David Cross(バイオリン、ヴィオラメロトロン
Robert Fripp(ギター、メロトロン)
John Wetton(ベース、ボーカル)
Bill Bruford(ドラムス
Jamie Muir(ドラムス、パーカッション)


収録は1972年10月17日。「Exiles」と「Larks Tongues in Aspic」が収録された「太陽と戦慄(The Larks' Tongues in Aspic)」の発売が1973年3月23日なので、アルバム発表前のパフォーマンスということになります。ということはこの新生ラインアップ最初期のパフォーマンスでもあるわけです。

King Crimsonの数少ない映像として昔から有名なものですが、これまではこのBeat Clubで放送されたものしか見ることができませんでした。しかし「The Larks' Tongues in Aspic」40周年記念バージョンに、そのフル映像が収録され、今では初めて全貌を知ることができるようになっています。


わずかな期間しか在籍しなかったジェイミー・ミューアの姿を見ることができる点でも貴重な記録です。当時のサイケデリックな映像エフェクトが今となっては邪魔ですが、 それでも緊張感漂うメンバーの様子や獲物を求めて徘徊するようなジェイミー・ミューアの姿はインパクトがありますね。

そのジェイミー・ミューア
のプレイも含めて、冷静に聴くといかにこのバンドの音や曲が特異なものだったかがわかります。ロックと言うにはあまりにグルーヴしないビル・ブルーフォードのドラミング、ビブラートしない鉛のようなロバート・フリップのギター、クラシックの香りのしないデイヴィッド・クロスのバイオリン。そしてインストゥルメンタルなのに、ジャズでも現代音楽でもない楽曲。

後に居場所がなくなってしまうデイヴィッド・クロスが、バイオリンとフルートで大きな存在感を示しているのも貴重と言えるでしょう。

    

「Live in Sporthalle Cologne」カン



ドイツ(当時は西ドイツ)のエクスペリメンタル・ロックバンドCanが、1972年にケルンのシュポルトハレ(Sporthalle)で行なったコンサートの映像。

曲は「Ege Bamyasi」(1972)収録の「Spoon」。

[members]
Holger Czukay(ベース、エレクトロニクス)
Michael Karoli(ギター、ボーカル、バイオリン)
Jaki Liebezeit(ドラムス、パーカッション)
Irmin Schmidt(キーボード、ボーカル)
Damo Suzuki(ボーカル)

この「Spoon」という曲はスリラードラマ「Das Messer」の主題歌として作られ、国内チャート6位の大ヒットとなったそうです。この成功により彼らは1972年2月にフリーコンサートを開催。この映像はその時のものです。

何と言ってもダモ鈴木が歌っている映像だというところが貴重でしょう。当時の国際派ヒッピー日本人を代表するような人物であるダモ鈴木は、世界各地を放浪の末、ミュージカル「ヘアー」出演のためにミュンヘンに滞在、路上でギターを弾きながら寄生を上げていたところろヤキ・リーベツァイトとホルガー・チューカイによって“発見”されたとのこと。そのまま即日ライヴに参加、以降1973年までCanの正式メンバーとなりました。

サイケデリックな音がミニマルミュージックのように淡々と続いていく当時のCanのサウンドに、メロディーも歌詞も判然としないダモ鈴木のボーカル・スタイルはフィットし、やがて「Future Days」(1973)という傑作が生まれることになります。

長髪の黒髪に赤とピンクのツートーンカラーの全身タイツというダモ鈴木の風貌は、元々アカデミック集団であったメンバーの中ではインパクト大です。他のメンバーが服装もステージングも地味なので、くねくね踊るダモ鈴木の異様さが目立ちます。

バンドのアンサンブルは完璧で、リズム・セクションは正確無比。そこにフリーフォームにギターの音を重ねるミヒャエル・カローニ、何かに取り憑かれたように笑いながら演奏するアーミン・シュミット、そして意味不明なジャグラー。構築と混沌が入り交じったステージです。

2013年10月21日月曜日

「At the Isle of Wight Festival 1970」グレイシャス

 
イギリスのバンドGraciousが、伝説の1970年「ワイト島音楽祭」に出演した際のライヴ映像。

曲は2nd「This is... Gracious!!」(1972)収録の大作組曲「Super Nova」。ただしオリジナルは20分を軽く越える曲ですが、ここではメロトロンの不調により途中で演奏を断念しています。

[members]
Paul "Sandy" Davis(リード・ボーカル、12弦ギター)
Alan Cowderoy(ギター、バッキング・ボーカル)
Martin Kitcat(キーボード、バッキング・ボーカル)
Tim Wheatley(ベース、バッキング・ボーカル)
Robert Lipson(ドラムス)

[set list]
Super Nova
 a) Arrival of The Traveller
 b) Blood Red Sun
 c) Say Goodbye to Love
 d) Prepare to Meet Thy Maker(メロトロンの不調で演奏されず)

Graciousは1967年結成、1970年にデビューアルバム「Gracious」を発表し、その翌年の1971年には解散してしまった短命なバンドです。

1972年に2nd「This is... Gracious!!」が発表されますが、これはもともと「Supernova」というタイトルでバンドがまだ活動していた1971年に完成していたもの。しかしコマーシャルではないということでレコード会社(ヴァーティゴ)はリリースしようとしなかったという曰く付きの作品。バンド解散後に「This is...」という廉価版シリーズの一枚としてフィリップスから発売されたので、このタイトルになったのだそうです。

ハードロックっぽい骨太なサウンドに、ポールの男っぽいボーカル、そしてマーティン・キットカットの奏でるメロトロンが一体となり、イギリスの香り高いサウンドが展開されます。ハード・ロックのキーボードと言えばハモンド・オルガンが当たり前だった当時に、メロトロンをキーボードのメインに据えたところが一つの大きな魅力ですね。

後半「Say Goodby to Love」が終る辺りでマーティンがポールのところに駆け寄って耳打ちすると、ポールが曲の終了をアナウンス。「メロトロンが動かなくなったんだ」と観衆に説明していますが、発電機のパワーが落ちてメロトロンのピッチが不安定になってしまったようです。

そのメロトロンもなだめすかしつつなんとか鳴らしながら、次の曲「Once on a Windy Day」が始まったところで映像は切れてしまいます。アンコールでは「C.B.S.」が演奏されたようなので、この日の演目は3曲。ぜひ完全版映像が見たいところです。

この日は「Super Nova」初演だったそうで、メロトロンがダウンしたライヴ記録というアクシデントも含めて、非常に貴重な映像だと言えるでしょう。

2013年10月17日木曜日

「Frippertoronics Demo 1979」ロバート・フリップ



1974年にKing Crimsonが解散した後、Frippertronics(フリッパートロニクス)という新しいシステムを開発してソロ活動を始めたロバート・フリップ(Robert Fripp)が、1979年にアメリカのTV番組「Midnight Special」に出演しFrippertronicsのデモンストレーションを行なった際の映像。

Frippertronicsとはアナログテープでプレイバックさせたギターに、更にギターを重ねて行く手法。二つのオープンーリール・テープ・レコーダーをループさせ、一台で演奏を録音しもう一台でタイミングをずらして再生させ、そこにまたリアルタイムに音を被せていくというもので、ソロ・ギターながら重層的な音世界を作り上げることができます。

こうした手法自体は、すでにブライアン・イーノ(Brian Eno)との共作「No Pussyfooting」(1973)の頃から見られましたが、当時はオーバーダヴなどによって表現していたもので、テープを使ったこのようなシステムは1975年のイーノとのヨーロッパ・ツアーからだそうです。

Frippertronicsという言葉は、こうしたシステムをインプロヴィゼーション主体のソロ・パフォーマンスで用いるようになってから、そのパフォーマンス全体を指して使われ始めたようですね。

この映像では「Starless and Bible Black」(1974)収録の「The Night Watch」を彷彿とさせる流麗で美しいギターソロを聴くことが出来ます。ディレイ・サウンドの特徴が活かされた、次々に打ち寄せるさざ波の音を聴くような穏やかで瞑想的な音世界ですね。

ちなみにFrippertronicsという造語は、当時の彼の恋人であった詩人Joanna Waltonによって命名されたものだとか。

1990年代になると機材のデジタル化が進み、Frippertronicsはより自由度と表現力を増したSoundscapeへと受け継がれていくことになります。


2013年10月12日土曜日

「The Old Grey Whistle Test 1978」ナショナル・ヘルス



イギリスのカンタベリー派ジャズ・ロックバンドNational Healthが、1979年に音楽番組「The Old Grey Whistle Test」に出演した際のスタジオライヴ映像。

曲は2nd「Of Queues And Cures」(1978)から「The Collapso」。

[members]
Phil Miller(ギター)
Dave Stewart(キーボード)
John Greaves(ベース、ボーカル)
Pip Pyle(ドラムス)

National Healthはフィル、デイヴ、ピップの三人が元Hatfield and the Northという編成からHatfield and the Northの発展系、あるいは一つの完成形と呼べるような音楽性を持つバンド。強烈なフロントマンを中心とするバンドではなく、個性豊かなメンバーの絶妙なアンサンブルが魅力です。

1stアルバム「National Health」(1978)ではゲスト参加のアマンダ・パーソンズ(Amanda Parsons)によるソプラノ・ボーカルが大きな特徴になっていましたが、2ndアルバムでは参加しておらず、ニール・マーレイ(Neil Murray)に替わって加入したジョン・グリーヴスの存在感が増したサウンドになっています。

相変わらずフィルのギターにデイヴのキーボードは個性豊かな音色で聴かせますが、このライヴステージでもニールは、ファズ・ベースを唸らせながら、流れるようなバンドの音にダイナミズムを加えていますね。

実はこのライヴ収録時、本番まで長く待たされたメンバーたちはお酒を飲みながら待っていたためかなり酔っぱらった状態だったそうです。ちょっとラフな感じのニールの様子を見るとそれも納得。

でも全体のアンサンブルに見える冷静さや朴訥さはしっかり発揮されていて、決してフュージョンにならない彼ら独特のジャズ・ロックサウンドを聴くことが出来ます。

デイヴ・スチュアートは、Bruford加入直前の時期にあたります。

2013年10月10日木曜日

「The Old Grey Whistle Test 1973」ピート・シンフィールド



King Crimsonのデビュー作「In the Court of the Crimson King」(1969)から「Islands」(1971)までの歌詞を担当したPete Sinfield。彼は1972年にバンドを離れますが、その後EL&Pが設立したマンティコア・レーベルからソロアルバム「Still」(1973)を発表します。これはその1973年にイギリスの音楽番組「Old Grey Whistle Test」に出演した際のスタジオライヴ映像。

曲は「Still」から「The Song of the Sea Goat」。

ビバルディ(Antonio Lucio Vivaldi)の「ギター協奏曲二長調の第2楽章」をモチーフにしたもので、アルバム「Still」の冒頭を飾る曲。バロックらしいゆったりとした典雅な雰囲気に重ねられたボーカル・メロディーは、どことなく「クリムゾン・キングの宮殿」風。

メンバーにMel Collins(フルート、サックス)、John Wetton(ベース)が加わっているのが見て取れますが、残念ながらドラムス、ギター&キーボード、ピアノの3人のメンバーが誰なのかは確認できませんでした。

ボーカリストとして聴くとどうしても拙さを感じてしまいますが、singingというよりpoet readingに近いと見方を変えると、彼の誠実さとか夢想的な繊細さがより感じられるように思います。バックの演奏は言わばその詩的世界を広げるBGMなのかもしれません。

2013年10月7日月曜日

「Top of the Pops 1972」ホークウインド



英国サイケデリック/スペース・ロックの最高峰Hawkwindが、シングル専用曲「Silver Machine」が大ヒットした1972年に、BBCの「Top of the Pops」に“出演”した際のライヴ映像。

[members]
Dave Brock(ギター、ボーカル)
Nik Turner(サックス、フルート)
Lemmy Ian Kilmister (ベース、ボーカル)
Dik Mik (Michael Davies) (シンセサイザー)
Del Dettmar(シンセサイザー)
Simon King(ドラムス)

UKシングル・チャート第3位という大ヒットによりBBCの音楽チャート番組「Top of the Pops」に出演することになったのですが、必ずしもファンと言うわけではないスタジオの観客の前で演奏することを良しとしなかったメンバーは、1972年7月のライヴ映像にシングル音源を被せるという方法で番組に“出演”することになったのだとか。

シンセサイザーの電子音やイコライズされたフルートの音が飛び交いますが、曲は意外とシンプルでストレートなロックンロール。でもHawkwindが演奏すると一定の反復リズムが強調された非常にトリップ感の強い曲になってしまうから不思議です。

ロバート・カルバート(Robert Calvert)のボーカルが弱かったために、最終的にベースのレミー・キルミスターがボーカルを担当したという曰く付きの曲ですが、力強くもちょっと荒っぽいレミーの歌い方は、Hawkwindのサイケデリック・サウンドに良くあっていたと言えるでしょう。

1971年からステージ・ダンサーとして加わったステイシア(Stacia)の姿が映っているのも貴重でしょう。“ヌード・ダンサー”として加わっていたわけですが、この時は着衣&フェイス・ベインティングというTV放送にも支障のない格好をしていますね。

「Live on French TV 1970」マグマ



フランスの巨星Magmaが、1st「Kobaïa」(1970)発表時に行なったと思われるTV番組でのスタジオライヴ映像。

曲は「Kobaïa」収録の「Stoah」。

[members]
Christian Vander(ドラムス、パーカッション、ボーカル)
Klaus Blasquiz(リード・ボーカル)
Claude Engel  (ギター、フルート、ボーカル)
Francis MozeMOZE(ベース、コントラバス)
Francois Cahen(ピアノ)
Teddy Lasry(ソプラノ・サックス、フルート)
Richard Raux(アルト&テナー・サックス)
Alain Charlery(トランペット)

クリスチャン・バンデを中心に1969年に結成されたMagmaは、初期にはブラス・セクションを率いたジャズロック・バンド的な編成でした。

3管のブラス・セクションとピアノがビッグバンド・ジャズ風な雰囲気を残していますが、冒頭の奇怪なアジテーションやオペラチッックなボーカル、そしてフリージャズっぽい展開など、この曲はすでにMagmaらしいオリジナリティーに満ちていますね。

ジャズ・ロックと言うにはあまりにヘヴィーでアンダーグラウンド。それはまるで呪術的秘密結社か異端宗教の地下集会の様子を撮ったもののようで、整然とした高度なアンサンブルが、逆に狂気に近い不気味さを感じさせてくれます。

互いが見えるような形で円形に並ぶメンバーの様子からも、“儀式”や“共同体”と言った言葉が浮かんできます。そこには既存音楽へのアンチとかいったことなど眼中になく、ただ自分たちにとってあるべき音楽を創造しようとする、尋常ならざる意志のようなものが漂っています。

ピアノとフルートが全面に出る部分などは、この次期特有と言えるもので、Magmaの映像としても非常に貴重なものと言えるでしょう。

2013年9月27日金曜日

「French TV 1973」ザオ



フランスのジャズ・ロックバンドZaoが、1973年に行なったTV番組用スタジオライヴ。曲は傑作1st「Z=7L」(1973)から「Marochsek」。

[members]
Mauricia Platon(ボーカル)
Francois Cahen(キーボード)
Yochk'o Seffer(ソプラノ・サックス、バス・クラリネット)
Jean My Truong(ドラムス)
Joel Dugrenot (エレクトリック・ベース)
Jean-Yves Rigaud(エレクトリック・バイオリン)

Zaoは、Magmaのメンバーとして2nd「1001° centigrades」(1971)で共演したヨシコ・セファーとフランソワ・カーンが、Magmaを脱退して結成したバンド。アルバムを出すごとにMagmaの影は薄れ、後にバイオリンにディディエ・ロックウッド(Dedier Lockwood)を迎え、4th「Kawana」(1976)というテクニカル・ジャズ・ロックの名盤を作り上げます。

このライヴが行なわれた1st「Z=7L」の時期は、唯一ムリーシア・プラトンという専任女性ボーカリストを擁していいて、Zaoの歴史の中でも特異な編成と言えます。

彼女のボーカル(スキャット)には、美しく力強い声で怪しいメロディーを反復するという、Magmaのコーラスにも似た雰囲気があります。しかし脅迫的なMagmaのコーラスに比べ、その声量と声の良さのため呪術的ボイスパフォーマンスとモダンなジャズ・スキャットを融合させたような不思議な魅力を醸し出しています。

バックの演奏もパワフルなインタープレイという感じではなく、雰囲気を大事にした堅実なもの。それでもこのゆったりした流れに漂う緊張感は素晴らしいですね。セファーとカーンに目がいきがちですが、リズムセクションの二人の的確なプレイも光ります。

冒頭で、アルバムと同じように「Zao!」という叫び声が聞こえます。Magmaの「Hamatai!」を思い出してしまいましたが、Magmaの影もちらつきながら非常にオリジナリティの高いサウンドという点では、後のインスト・ジャズ・ロック期にも匹敵する個性を感じさせてくれるライヴです。

2013年9月23日月曜日

「Live in L.A. 1994」セバスチャン・ハーディー



オーストラリアの叙情派シンフォニック・バンドSebastian Hardieが、1994年にオリジナル・メンバーで再結成され、アメリカのフェスティバル「ProgFest '94」に出演した際の映像。

曲は大傑作1st「Four Moments」(1975)から、大名曲「Four Moments」。

[members]
Mario Millo(ギター、ボーカル)
Peter Plavsic(ベース)
Alex Plavsic(ドラムス、パーカッション)
Toivo Pilt(キーボード)

[set list]
Four Moments
 i Glories Shall Be Released
 ii Dawn Of Our Sun
 iii Journey Through Our Dreams
 iv Everything Is Real

アルバム発表から19年経ってのステージということで、マリオ・ミーロのボーカルがちょっと苦しそうとか、若干ぎこちない部分もありますが、リズム・セクションはむしろ安定さを増しているし、何よりマリオ・ミーロのギターが鳴り始めるともう紛れも無いSebastian Hardieの世界が広がります。

技巧的に高度なことをしているわけでもないのに、グイグイ引込まれる曲構成と演奏が魅力なSebastian Hardie。マリオ・ミーロのギターの素晴らしさは言うに及ばず、トイフ・ピルトのシンフォニックなキーボード、特にメロトロンの響きが素晴らしいですね。

シンプルで哀愁たっぷりなメロディーとスムーズでドラマチックな曲展開。イタリアン・ロックのような盛り上がりとは違った、正にオーストラリアの大自然を感じさせる雄大な美しさはSebastian Hardieならでは。変に新しいアレンジを加えたり最新の機材で音色を変えてしまったりといったこともなく、オリジナルの音を失わずにいたこともこのステージの大きな魅力です。

特に2ndパートの「Dawn of Our Sun」のメロトロン・フルートからギターソロへの流れは格別。ここで溢れ出す美世界には言葉を失います。