2020年8月17日月曜日

「Live - Batacran」Genesis(ジェネシス)

 
イギリスのバンドGenesis(ジェネシス)が
1973年1月10日にパリのバタクラン・クラブで行ったライブの様子を、フランスのTV番組POP2が放送したものです。番組にはインタビュー・シーンもありましたが、ここではカットされ、ステージ映像のみに編集されています。
 

[members]
Peter Gabriel(リード・ボーカル、フルート、タンバリン)
Tony Banks(キーボード、12弦ギター)
Michael Rutherford(ベース、12弦ギター、バッキング・ボーカル)
Steve Hackett(エレクトリック・ギター、12弦ギター)
Phil Collins(ドラムス、パーカッション、バッキング・ボーカル)

[setlist]
1. The Musical Box 
2. Supper's Ready
3. The Return of the Giant Hogweed
4. The Knife
 

曲は「Trespass(侵入)」(1970)、「Nursery Cryme(怪奇骨董音楽箱」(1971)、「Foxtrotフォックストロット)」(1972)、「Selling England By The Pound月影の騎士)」(1973)という、まさに絶頂期のアルバムから一曲ずつ選ばれいます。
 
正直言うと、スタートの「The Musica Box」の演奏は、少々危なっかしいものです。確かにテンポ・チェンジが激しい曲ですが、各メンバーのテンポがきっちり合わず、アンサンブルが破綻しかけるのですが、それを上手くまとめているのがフィル・コリンズのドラミングです。この力技はスゴイです。
 
ただし、そのきっちり合わないアンサンブルが不快かと言うと、まったく逆で、サウンドの異様さや、荒々しい魅力として感じられるのが不思議です。特に、映像的にはほとんど撮ってもらえないスティーヴ・ハケットの、どこか傍若無人なギター・ソロが良いですね。

最初の場面では、マイク・ラザフォードもスティーヴ・ハケットも椅子に座ってプレイしていますが、終盤では立ち上がります。座ってプレイしていたメンバーが立ち始めた頃の
(!?)、貴重な記録とも言えるかもしれません。

2020年8月10日月曜日

「Pale Sky」メインホース(Mainhorse)

のちにレフュジー(Refugee)、イエス(Yes)、ムーディー・ブルース(Moody Blues)で強烈な存在感を放つことになるキーボード奏者パトリック・モラーツが在籍していたバンド、メインホース(Mainhorse)のスイスのTV用に収録されたライヴ映像。おそらく唯一作「Mainhorse」が発表された1971年とのこと。

曲はその唯一作から「Pale Sky」。

[members]
Peter Lockett:リード・ギター、バイオリン、ボーカル 
Patrick Moraz:ピアノ、オルガン、シンセサイザー、オルガン、シンセサイザー、グロッケンシュピール、ボーカル
Jean Ristori:ベース、チェロ、ボーカル
Bryson Graham:ドラム、パーカッション
 
1969年にパトリックとジーンの二人がスイスからイギリスへ渡り、メロディー・メーカー誌でメンバー募集し、母体となるグループが生まれます。その後、一旦スイスに戻りますが、メンバーチェンジやバンド名の改名などを経て再び渡英し、ポリドールと契約して発表したのが、唯一作となる「Mainhorse」です。
 
1971年と言えば、その後に加入するイエスが「こわれもの(Fragile)」を、ムーディー・ブルースが「Every Good Boy Deserves Favour(
童夢)」を発表した年。ほかにもピンク・フロイド(Pink Floyd)が「Meddle(おせっかい)」を、そしてエマーソン、レイク&パーマーが「Tarkus(タルカス)」を発表するなど、まさにプログレ的なバンドだけを見ても、ものすごい勢いで新しいサウンドが開花してゆく真っ只中と言って良い頃です。
 
メインホースは、これらのバンドたちと比べるとハードロック要素が強く感じられますが、それはピーターのギター・サウンドによるものでしょう。それでも、プログレ的な魅力があるのは、もちろんジーンのチェロの導入というハードロックの枠をはみ出すプレイもありますが、それも曲展開の自由さあってのことであり、その自由さのかなめになっているのが、パトリックのキーボードの多彩さだと言えるでしょう。
 
サウンド的には、やはりエレクトリック・ピアノの響きが独特ですし、クラシカルな落ち着きとテクニックに裏打ちされたパトリックのプレイが、ハードロック的なギターに負けていません。それどころか、両者が混じり合うことで、独特のメインホース・サウンドを作り出していますね。
 
そして、テクニックに関しては、全員がテクニシャン。新人らしからぬ落ち着きが漂っています。一枚で解散してしまったのが、実に残念なバンドです。