2013年10月31日木曜日

「Live in Lyon 1975」ピュルサー



フランスのバンドPulsarが、1975年にフランス南東部の都市リヨンで行なったライヴの映像。

曲は傑作2nd「Strands of the Future」(1976)収録の22分を越える大曲「Strands of the Future」からの抜粋。

Victor Bosch(ドラムス)
Michel Masson(ベース)
Gilbert Gandil(ギター)
Jacques Roman(キーボード)
Roland Richard(フルート、サックス、キーボード)

メンバーは1st「Pollen」(1975)年時の5人編成なので、まだ「Strands of the Future」発売前のこの時点ですでに大曲「Strands of the Future」がある程度完成していたことが分かります。

この後ベースのミッシェルが脱退し、「Strands of Future」はキーボードのジャック・ローマンがベースを担当して完成します。その後再びミッシェルが加入し、大傑作「Halloween」(1977)生まれることになります。

強烈なサイケデリック感を醸し出すファズギター、スペイシーにうねるシンセサイザーにメロトロン、エコーが響くフルート、そしてリズムセクションによるタイトな変拍子。いわゆるドラッグ的なサイケデリックよりはもっと洗練されていて、構築性が高いのにコズミック感が強いサウンドというのは、実はありそうでなかなかないもの。

このライヴの映像は別のものもアップされているので、ぜひフルコンサート・映像が見てみたいものです。

2013年10月24日木曜日

「LIve at Bremen 1972」キング・クリムゾン



King CrimsonがドイツのTV番組「Beat Club」用に行なったドイツのブレーメンにあるBeat Clubでのライヴ映像。

曲は「Larks Tongues in Aspic」(1973)収録の「The Larks' Tongues in Aspic part I」。

[members]
David Cross(バイオリン、ヴィオラメロトロン
Robert Fripp(ギター、メロトロン)
John Wetton(ベース、ボーカル)
Bill Bruford(ドラムス
Jamie Muir(ドラムス、パーカッション)


収録は1972年10月17日。「Exiles」と「Larks Tongues in Aspic」が収録された「太陽と戦慄(The Larks' Tongues in Aspic)」の発売が1973年3月23日なので、アルバム発表前のパフォーマンスということになります。ということはこの新生ラインアップ最初期のパフォーマンスでもあるわけです。

King Crimsonの数少ない映像として昔から有名なものですが、これまではこのBeat Clubで放送されたものしか見ることができませんでした。しかし「The Larks' Tongues in Aspic」40周年記念バージョンに、そのフル映像が収録され、今では初めて全貌を知ることができるようになっています。


わずかな期間しか在籍しなかったジェイミー・ミューアの姿を見ることができる点でも貴重な記録です。当時のサイケデリックな映像エフェクトが今となっては邪魔ですが、 それでも緊張感漂うメンバーの様子や獲物を求めて徘徊するようなジェイミー・ミューアの姿はインパクトがありますね。

そのジェイミー・ミューア
のプレイも含めて、冷静に聴くといかにこのバンドの音や曲が特異なものだったかがわかります。ロックと言うにはあまりにグルーヴしないビル・ブルーフォードのドラミング、ビブラートしない鉛のようなロバート・フリップのギター、クラシックの香りのしないデイヴィッド・クロスのバイオリン。そしてインストゥルメンタルなのに、ジャズでも現代音楽でもない楽曲。

後に居場所がなくなってしまうデイヴィッド・クロスが、バイオリンとフルートで大きな存在感を示しているのも貴重と言えるでしょう。

    

「Live in Sporthalle Cologne」カン



ドイツ(当時は西ドイツ)のエクスペリメンタル・ロックバンドCanが、1972年にケルンのシュポルトハレ(Sporthalle)で行なったコンサートの映像。

曲は「Ege Bamyasi」(1972)収録の「Spoon」。

[members]
Holger Czukay(ベース、エレクトロニクス)
Michael Karoli(ギター、ボーカル、バイオリン)
Jaki Liebezeit(ドラムス、パーカッション)
Irmin Schmidt(キーボード、ボーカル)
Damo Suzuki(ボーカル)

この「Spoon」という曲はスリラードラマ「Das Messer」の主題歌として作られ、国内チャート6位の大ヒットとなったそうです。この成功により彼らは1972年2月にフリーコンサートを開催。この映像はその時のものです。

何と言ってもダモ鈴木が歌っている映像だというところが貴重でしょう。当時の国際派ヒッピー日本人を代表するような人物であるダモ鈴木は、世界各地を放浪の末、ミュージカル「ヘアー」出演のためにミュンヘンに滞在、路上でギターを弾きながら寄生を上げていたところろヤキ・リーベツァイトとホルガー・チューカイによって“発見”されたとのこと。そのまま即日ライヴに参加、以降1973年までCanの正式メンバーとなりました。

サイケデリックな音がミニマルミュージックのように淡々と続いていく当時のCanのサウンドに、メロディーも歌詞も判然としないダモ鈴木のボーカル・スタイルはフィットし、やがて「Future Days」(1973)という傑作が生まれることになります。

長髪の黒髪に赤とピンクのツートーンカラーの全身タイツというダモ鈴木の風貌は、元々アカデミック集団であったメンバーの中ではインパクト大です。他のメンバーが服装もステージングも地味なので、くねくね踊るダモ鈴木の異様さが目立ちます。

バンドのアンサンブルは完璧で、リズム・セクションは正確無比。そこにフリーフォームにギターの音を重ねるミヒャエル・カローニ、何かに取り憑かれたように笑いながら演奏するアーミン・シュミット、そして意味不明なジャグラー。構築と混沌が入り交じったステージです。

2013年10月21日月曜日

「At the Isle of Wight Festival 1970」グレイシャス

 
イギリスのバンドGraciousが、伝説の1970年「ワイト島音楽祭」に出演した際のライヴ映像。

曲は2nd「This is... Gracious!!」(1972)収録の大作組曲「Super Nova」。ただしオリジナルは20分を軽く越える曲ですが、ここではメロトロンの不調により途中で演奏を断念しています。

[members]
Paul "Sandy" Davis(リード・ボーカル、12弦ギター)
Alan Cowderoy(ギター、バッキング・ボーカル)
Martin Kitcat(キーボード、バッキング・ボーカル)
Tim Wheatley(ベース、バッキング・ボーカル)
Robert Lipson(ドラムス)

[set list]
Super Nova
 a) Arrival of The Traveller
 b) Blood Red Sun
 c) Say Goodbye to Love
 d) Prepare to Meet Thy Maker(メロトロンの不調で演奏されず)

Graciousは1967年結成、1970年にデビューアルバム「Gracious」を発表し、その翌年の1971年には解散してしまった短命なバンドです。

1972年に2nd「This is... Gracious!!」が発表されますが、これはもともと「Supernova」というタイトルでバンドがまだ活動していた1971年に完成していたもの。しかしコマーシャルではないということでレコード会社(ヴァーティゴ)はリリースしようとしなかったという曰く付きの作品。バンド解散後に「This is...」という廉価版シリーズの一枚としてフィリップスから発売されたので、このタイトルになったのだそうです。

ハードロックっぽい骨太なサウンドに、ポールの男っぽいボーカル、そしてマーティン・キットカットの奏でるメロトロンが一体となり、イギリスの香り高いサウンドが展開されます。ハード・ロックのキーボードと言えばハモンド・オルガンが当たり前だった当時に、メロトロンをキーボードのメインに据えたところが一つの大きな魅力ですね。

後半「Say Goodby to Love」が終る辺りでマーティンがポールのところに駆け寄って耳打ちすると、ポールが曲の終了をアナウンス。「メロトロンが動かなくなったんだ」と観衆に説明していますが、発電機のパワーが落ちてメロトロンのピッチが不安定になってしまったようです。

そのメロトロンもなだめすかしつつなんとか鳴らしながら、次の曲「Once on a Windy Day」が始まったところで映像は切れてしまいます。アンコールでは「C.B.S.」が演奏されたようなので、この日の演目は3曲。ぜひ完全版映像が見たいところです。

この日は「Super Nova」初演だったそうで、メロトロンがダウンしたライヴ記録というアクシデントも含めて、非常に貴重な映像だと言えるでしょう。

2013年10月17日木曜日

「Frippertoronics Demo 1979」ロバート・フリップ



1974年にKing Crimsonが解散した後、Frippertronics(フリッパートロニクス)という新しいシステムを開発してソロ活動を始めたロバート・フリップ(Robert Fripp)が、1979年にアメリカのTV番組「Midnight Special」に出演しFrippertronicsのデモンストレーションを行なった際の映像。

Frippertronicsとはアナログテープでプレイバックさせたギターに、更にギターを重ねて行く手法。二つのオープンーリール・テープ・レコーダーをループさせ、一台で演奏を録音しもう一台でタイミングをずらして再生させ、そこにまたリアルタイムに音を被せていくというもので、ソロ・ギターながら重層的な音世界を作り上げることができます。

こうした手法自体は、すでにブライアン・イーノ(Brian Eno)との共作「No Pussyfooting」(1973)の頃から見られましたが、当時はオーバーダヴなどによって表現していたもので、テープを使ったこのようなシステムは1975年のイーノとのヨーロッパ・ツアーからだそうです。

Frippertronicsという言葉は、こうしたシステムをインプロヴィゼーション主体のソロ・パフォーマンスで用いるようになってから、そのパフォーマンス全体を指して使われ始めたようですね。

この映像では「Starless and Bible Black」(1974)収録の「The Night Watch」を彷彿とさせる流麗で美しいギターソロを聴くことが出来ます。ディレイ・サウンドの特徴が活かされた、次々に打ち寄せるさざ波の音を聴くような穏やかで瞑想的な音世界ですね。

ちなみにFrippertronicsという造語は、当時の彼の恋人であった詩人Joanna Waltonによって命名されたものだとか。

1990年代になると機材のデジタル化が進み、Frippertronicsはより自由度と表現力を増したSoundscapeへと受け継がれていくことになります。


2013年10月12日土曜日

「The Old Grey Whistle Test 1978」ナショナル・ヘルス



イギリスのカンタベリー派ジャズ・ロックバンドNational Healthが、1979年に音楽番組「The Old Grey Whistle Test」に出演した際のスタジオライヴ映像。

曲は2nd「Of Queues And Cures」(1978)から「The Collapso」。

[members]
Phil Miller(ギター)
Dave Stewart(キーボード)
John Greaves(ベース、ボーカル)
Pip Pyle(ドラムス)

National Healthはフィル、デイヴ、ピップの三人が元Hatfield and the Northという編成からHatfield and the Northの発展系、あるいは一つの完成形と呼べるような音楽性を持つバンド。強烈なフロントマンを中心とするバンドではなく、個性豊かなメンバーの絶妙なアンサンブルが魅力です。

1stアルバム「National Health」(1978)ではゲスト参加のアマンダ・パーソンズ(Amanda Parsons)によるソプラノ・ボーカルが大きな特徴になっていましたが、2ndアルバムでは参加しておらず、ニール・マーレイ(Neil Murray)に替わって加入したジョン・グリーヴスの存在感が増したサウンドになっています。

相変わらずフィルのギターにデイヴのキーボードは個性豊かな音色で聴かせますが、このライヴステージでもニールは、ファズ・ベースを唸らせながら、流れるようなバンドの音にダイナミズムを加えていますね。

実はこのライヴ収録時、本番まで長く待たされたメンバーたちはお酒を飲みながら待っていたためかなり酔っぱらった状態だったそうです。ちょっとラフな感じのニールの様子を見るとそれも納得。

でも全体のアンサンブルに見える冷静さや朴訥さはしっかり発揮されていて、決してフュージョンにならない彼ら独特のジャズ・ロックサウンドを聴くことが出来ます。

デイヴ・スチュアートは、Bruford加入直前の時期にあたります。

2013年10月10日木曜日

「The Old Grey Whistle Test 1973」ピート・シンフィールド



King Crimsonのデビュー作「In the Court of the Crimson King」(1969)から「Islands」(1971)までの歌詞を担当したPete Sinfield。彼は1972年にバンドを離れますが、その後EL&Pが設立したマンティコア・レーベルからソロアルバム「Still」(1973)を発表します。これはその1973年にイギリスの音楽番組「Old Grey Whistle Test」に出演した際のスタジオライヴ映像。

曲は「Still」から「The Song of the Sea Goat」。

ビバルディ(Antonio Lucio Vivaldi)の「ギター協奏曲二長調の第2楽章」をモチーフにしたもので、アルバム「Still」の冒頭を飾る曲。バロックらしいゆったりとした典雅な雰囲気に重ねられたボーカル・メロディーは、どことなく「クリムゾン・キングの宮殿」風。

メンバーにMel Collins(フルート、サックス)、John Wetton(ベース)が加わっているのが見て取れますが、残念ながらドラムス、ギター&キーボード、ピアノの3人のメンバーが誰なのかは確認できませんでした。

ボーカリストとして聴くとどうしても拙さを感じてしまいますが、singingというよりpoet readingに近いと見方を変えると、彼の誠実さとか夢想的な繊細さがより感じられるように思います。バックの演奏は言わばその詩的世界を広げるBGMなのかもしれません。

2013年10月7日月曜日

「Top of the Pops 1972」ホークウインド



英国サイケデリック/スペース・ロックの最高峰Hawkwindが、シングル専用曲「Silver Machine」が大ヒットした1972年に、BBCの「Top of the Pops」に“出演”した際のライヴ映像。

[members]
Dave Brock(ギター、ボーカル)
Nik Turner(サックス、フルート)
Lemmy Ian Kilmister (ベース、ボーカル)
Dik Mik (Michael Davies) (シンセサイザー)
Del Dettmar(シンセサイザー)
Simon King(ドラムス)

UKシングル・チャート第3位という大ヒットによりBBCの音楽チャート番組「Top of the Pops」に出演することになったのですが、必ずしもファンと言うわけではないスタジオの観客の前で演奏することを良しとしなかったメンバーは、1972年7月のライヴ映像にシングル音源を被せるという方法で番組に“出演”することになったのだとか。

シンセサイザーの電子音やイコライズされたフルートの音が飛び交いますが、曲は意外とシンプルでストレートなロックンロール。でもHawkwindが演奏すると一定の反復リズムが強調された非常にトリップ感の強い曲になってしまうから不思議です。

ロバート・カルバート(Robert Calvert)のボーカルが弱かったために、最終的にベースのレミー・キルミスターがボーカルを担当したという曰く付きの曲ですが、力強くもちょっと荒っぽいレミーの歌い方は、Hawkwindのサイケデリック・サウンドに良くあっていたと言えるでしょう。

1971年からステージ・ダンサーとして加わったステイシア(Stacia)の姿が映っているのも貴重でしょう。“ヌード・ダンサー”として加わっていたわけですが、この時は着衣&フェイス・ベインティングというTV放送にも支障のない格好をしていますね。

「Live on French TV 1970」マグマ



フランスの巨星Magmaが、1st「Kobaïa」(1970)発表時に行なったと思われるTV番組でのスタジオライヴ映像。

曲は「Kobaïa」収録の「Stoah」。

[members]
Christian Vander(ドラムス、パーカッション、ボーカル)
Klaus Blasquiz(リード・ボーカル)
Claude Engel  (ギター、フルート、ボーカル)
Francis MozeMOZE(ベース、コントラバス)
Francois Cahen(ピアノ)
Teddy Lasry(ソプラノ・サックス、フルート)
Richard Raux(アルト&テナー・サックス)
Alain Charlery(トランペット)

クリスチャン・バンデを中心に1969年に結成されたMagmaは、初期にはブラス・セクションを率いたジャズロック・バンド的な編成でした。

3管のブラス・セクションとピアノがビッグバンド・ジャズ風な雰囲気を残していますが、冒頭の奇怪なアジテーションやオペラチッックなボーカル、そしてフリージャズっぽい展開など、この曲はすでにMagmaらしいオリジナリティーに満ちていますね。

ジャズ・ロックと言うにはあまりにヘヴィーでアンダーグラウンド。それはまるで呪術的秘密結社か異端宗教の地下集会の様子を撮ったもののようで、整然とした高度なアンサンブルが、逆に狂気に近い不気味さを感じさせてくれます。

互いが見えるような形で円形に並ぶメンバーの様子からも、“儀式”や“共同体”と言った言葉が浮かんできます。そこには既存音楽へのアンチとかいったことなど眼中になく、ただ自分たちにとってあるべき音楽を創造しようとする、尋常ならざる意志のようなものが漂っています。

ピアノとフルートが全面に出る部分などは、この次期特有と言えるもので、Magmaの映像としても非常に貴重なものと言えるでしょう。