2020年5月18日月曜日

「Pasiones」コス(COS)




ベルギーのバンドCOS(コス)が、フランスのTVショー「L'echo des Bananes」に出演した際の映像。1982年に、スペイン内戦(1936〜1939)を扱った5thアルバム「Pasiones」を発表しますが、その頃の映像だと思われます。

[setlist]
1. Pasiones
2. Rumba y canones

[members]
Philippe Allaert:ドラム、コーラス
Ilona Chale de Barcelona:ボーカル
Pierre van Dormael:ギター、コーラス
Nicolas Fiszman:ギター、コーラス
Dañel Schell:チャップマン・スティック、ボーカル
  
1はアルバム「Pasiones」のタイトル曲、2はアルバムのラストソングです。

COSのサウンドというと、初期3作で聞かれるように、パスカル・サン(Pascale Son)のコケティッシュなハイトーン・ボーカル&カンタベリー風ジャズ・ロック・サウンドが魅力ですが、ここでボーカルを取っているのは二代目のイロナ・シャーレ。シンガーとしてはパスカル・サンほどの個性はないのですが、本アルバムのロック・オペラ的な展開には合っていると言えそうです。

それまでギターを弾いていた中心人物のダニエル・シェルも、ギターは他のメンバーに任せて、ここではチャップマン・スティックを弾いています。COSではなくDañel Schellと紹介されていることからも、当時のCOSがDañel Schellのソロ・プロジェクトに近かったことが伺えますね。

それでも軽妙でテクニカルなノリ、ポップなのに気づけば7拍子といった、一筋縄ではいかないサウンドには、Cosらしさも十分感じられる、貴重な映像と言えるでしょう。


  
  

2020年5月16日土曜日

「地球空洞説 増上寺ライヴ "The Cave down to the Earth" live in Zoujouji 」ファー・イースト・ファミリー・バンド (Far East Family Band)



ギター、ボーカルの宮下文夫、キーボードの高橋正明(現・喜多郎)、ベースの深草彰(現・深草アキ)を擁していた日本のバンドFar East Family Bandの映像。1975年、東京都港区芝公園にある増上寺でのステージ。

曲はすべて1stアルバム地球空洞説(The Cave down to the Earth)」(1973)から。



[members]

宮下文夫 / Fumio Miyashita(リード・ボーカル、ギター)
伊藤明 / Akira Ito(キーボード)
高橋正明 / Masanori Takahashi(キーボード、パーカッション)
福島博人 / Hirohito Fukushima(ギター、ボーカル)
深草彰 / Akira Fukakusa(ベース)
高崎静夫 / Shizuo Takasaki(ドラムス)

[set list]

1. 未知の大陸 / Undiscovered Northern Land
2. 時代から / Timeless 
3. 水神 / The God of Water 
4. 心山河 / River of Soul 

5. 地球空洞説 / The Cave (途中から次の動画へ)
  

後にクラウス・シュルツェ(Klaus Schulze)のプロデュースによるミックス盤「Nipponjin」(1976)で再び注目されますが、その時期にはバンドメンバーがかなり脱退していたということなので、これは地球空洞説」発売後の1973年頃のプロモーション映像ではないかと思われます。実際1974年には全世界47カ国同時発売&ヨーロッパツアー開始とワールドワイドな展開を図っているので、プロモーションにも力を入れていたのでしょう。


何と言っても粗さのあるサイケデリック&コズミック感が良いですね。この独特な音世界に合わせたベルボトムな白装束風衣装という佇まいが1970年代的ですが、その浮世離れした感じがとてもカッコ良いです。


今はミュージシャンがあまりに等身大になりすぎて、こうした雰囲気が共有できた当時のミュージシャンとリスナーの関係を羨ましく思ってしまいます。でもそれもまたミュージシャンの才能であり、技量なんでしょう。

ギターの音色や物々しい曲展開などにPink Floydの影響が伺えますが、ロックなリズムの上で明快なフォークソング風メロディーにTangerine Dream風シンセサイザーが被さるという音は新鮮です。和楽器などの伝統音楽を直接持ち込まずに、日本らしさを醸し出しているところは斬新とも言えます。すでに“喜多郎”の非凡さが伺えますね。


音楽はテクニックだけじゃないということを感じさせくれる、日本発の貴重な音&映像です。

  

  

2020年5月6日水曜日

「PULSE」ピンク・フロイド(Pink Floyd)


Pink Floydは、1994年作「対(Division Bell)」発表後にワールド・ツアー(77箇所、110公演!)を行いましたが、本作はその中で1994年10月にロンドンのアールズコート・エキシビション・センターで行なった公演を記録した映像です。

Roger Watersのいない、David Guimourを中心とした布陣ですが、このツアーは“史上最大の光と音のスペクタクル・ショー”として、今も語り継がれているものす。1995年に「P.U.L.S.E」というタイトルでライヴ・アルバム及びVHSとレーザー・ディスクが発売されました。その後、10年以上の歳月を経て、2006年にようやく邦題「驚異」としてDVD化されました。

そのrestored & re-editedバージョンが、Youtubeでofficialに見ることができます。ぜひご堪能ください。
  
[members]
David Gilmour :lead vocals, guitars, lap steel guitar, talk box
Richard Wright:keyboards, backing vocals, lead vocals on "Time" and "Comfortably Numb" (verses)
Nick Mason:drums, gong, roto-toms
  
Additional personnel
Guy Pratt:bass guitar, backing vocals, lead vocals on "Comfortably Numb" (verses) and "Run Like Hell"
Jon Carin:keyboards, programming, backing vocals, lead vocals on "Comfortably Numb" (verses)
Sam Brown:backing vocals, first lead vocalist on "The Great Gig in the Sky"
Durga McBroom:backing vocals, second lead vocalist on "The Great Gig in the Sky"
Claudia Fontaine: backing vocals, third lead vocalist on "The Great Gig in the Sky"
Tim Renwick:guitars, backing vocals
Dick Parry: saxophones
Gary Wallis:percussion, additional drums (played and programmed)

[set list]
1. Speak To Me
2. Breathe (In The Air)         
3. On The Run        
4. Time
5. The Great Gig In The Sky
6. Money
7. Us And Them
8. Any Colour You Like
9. Brain Damage
10. Eclipse
11. Sorrow
12. Keep Talking
13. High Hopes
14. Wish You Were Here
15. Comfortably Numb

1〜10は名作「狂気The Dark Side of the Moon)」(1973)全曲、11〜13は「対(Division Bell)」(1994)、14は「あなたがここにいてほしい(Wish You Were Here)」(1975)、15は「ザ・ウォール(The Wall)」(1979)収録曲です。


「Dedicated to Mystery Land」ワレンシュタイン(Wallenstein)




ドイツ(当時は西ドイツ)のシンフォニック・ロック・バンド、ワレンシュタイン(Wallenstein)のTVライヴ映像。

Radio Télévision Suisse放送の番組「Kaléidos-pop TV Show」によるもので、1973年4月14日のライブです。
  
曲は2ndアルバム「Mother Universe」(1972)収録の「Dedicated to Mystery Land」。


[members]

Jürgen Dollase:キーボード、リード・ボーカル
Harald Großkopf:ドラムス、パーカッション
Bill Barone:ギター


「Mother Universe」収録時から、Jerry Berkers(ベース、リード・ボーカル)が抜け、本ライブが行われた1973年に発表される3rdアルバム「Cosmic Century」で加わるJoachim Reiser(バイオリン)とDieter Meier(ベース)はまだ未加入な、過渡期な編成。


とは言え、オリジナルは8分ほどの曲に、即興のエレクトロニクス・サウンドを導入部に配して13分以上(残念ながら映像は途中でフェイドアウトしてしまいます)に仕上げているのは見事で、ハードロック的なオリジナル・パートのパワフルな魅力が一層引き立っていますね。

Symphonic Rock Orchestra〟を名乗るバンドのイメージとしては、バイオリンが入ってクラシカルな度合いが増し、傑作と言われる次作「Cosmic Century」が一つの完成形だったのかもしれませんが、そこに至る過程では、ドイツらしいエレクトロニクスな音も貪欲に取り入れようとしていたのかもしれません。