2018年5月20日日曜日

「Nella sala vuota」ニュー・トロルス(New Trolls)



イタリアのバンドNew Trolls(ニュー・トロルス)が、1971年にイタリアのサマー・フェスティバルCantagiroに出演した際のステージ映像。
  
曲はアルバム「Concerto Grosso I」(1971)のB面すべてを使った大作「Nella Sala Vuota」のショート・バージョン。

members
Nico Di Palo(ボーカル、ギター)
Vittorio De Scalzi(ボーカル、ギター、フルート)
Gianni Belleno(ドラムス)
Frank Laugelli(ベース)
Maurizio Salv(キーボード)
  
ベースが「Concerto Grosso I」収録時のGiorgio D'Adamoから、翌1972年に発表する次のアルバム「Searching For A Land」のメンバーFrank Laugelliに交代している模様ですが、5人のアンサンブルはここでも鉄壁です。
  
もともとアルバム収録の「Nella Sala Vuota」自体が、インプロヴィゼーション色の強い曲なので、アルバムが完全版でここでの演奏がショート・バージョンという捉え方は違うのかもしれません。

アルバムの展開をある程度なぞっているところを見ると、核となるフレーズや展開の上に、いかにインプロヴィゼーションを広げてゆくかで、長くも短くもなるということなのでしょう。
  
アルバムで聴くと、旧LPのA面で繰り広げられるクラシカルな美の極致との対比でかなり荒々しく感じられてしまい、ちょっと損をしている曲という気がしないでもないのですが、こうして単独で聴くと実にパワフルな魅力があることが分かります。
  
イタリアらしいボーカル・ハーモニーの美しさと力強さを、しっかりとライヴでも再現しているところも大きな魅力ですね。
  

2018年4月16日月曜日

「Roof of the World」マンダラバンド(mandalaband)



  
イギリスのバンドmandalaband(マンダラバンド)が、1stアルバム「mandalaband(曼荼羅組曲)」(1975)完成後、アルバム・リリース前にスタジオで撮影されたという驚愕発掘映像!

曲は1st「mandalaband」から「Roof of the World」。

[members]
Dave Durant :リード・ボーカル
Ashley Mulford:ギター
John Stimpson:ベース
Vic Emerson:キーボード
Tony Cresswell ドラムス
  
mandalabandは、レコードの帯に書かれた「イエスが、リックウェイクマンが幾年を費やして築した帝国を、この恐るべき天才集団はわずか3日で制覇した。」という煽り文句も懐かしい、雄大なシンフォニック・ロックを奏でるバンドですが、アルバムのテーマは1950年代に中国が行ったチベット侵略を告発・非難するという重苦しいものでした。
  
しかし、20分を超えるタイトル曲「Om Mani Padme Hum」はチベット語で歌われていて直接的なメッセージは伝わりにくく、むしろスリリングな演奏、分厚いキーボード・オーケストレーション、合唱団や弦楽オーケストラの参加など、非常にスケールの大きいシンフォニック・ロック大作として、特に日本で受け入れられました。
  
この曲を作曲したのがBarclay James Harvest(バークレイ・ジェームス・ハーヴェスト)のオーケストレーションを手掛けていたDavid Rollで、Davidは、完成したこの曲を演奏するためにミュージシャンを集め、アルバムを制作したのです。そのDavid RollとエンジニアのSteve Smithも、コントロール・ルームで作業している様子が映っています。

残念ながら、音の方はアルバム収録のものを被せているように思われますが、それでも貴重映像であることは間違いありません。このすぐ後に、Dave Durantはバンドを離れ、残ったメンバーはSad Cafeを結成することになるので、David Rollを含め、メンバー全員が一同に介したのは、この時が最後だったそうです。


「Sueños De Maniquí」ブブ(Bubu)


  
アルゼンチンのバンドBubu(ブブ)が2016年に38年ぶりの復活ステージを行った際のオフィシャル映像。曲は名作「Anabelas」(1978)から「Sueños De Maniquí」。
  
[members]
Daniel Andreoli:作曲、ベース
Federico Silva:ギター
Jero Romero:ボーカル
Julian Bachmanovsky:ドラムス
Virginia Maqui Tenconi:キーボード&コーラス
Alvar Llusá Damiani:ヴァイオリン
Juan Ignacio Varela:テナー・サックス
  
「Anabelas」はBubuの唯一作ですが、曲はすべてDaniel Andreoliによるもので、演奏は別のメンバーによって行われた、ロックでは珍しい作品でした。そのあたりは、mandalabandの「曼荼羅組曲」と似ています。

ところがこの38年ぶりの復活ステージでは、そのDaniel Andreoli自身が、ベーシストとして演奏にも参加しているのです!

演奏は「Anabelas」を丁寧に再現したもので、Daniel Andreoli以外が若手ミュージシャンということもあり、オリジナルに匹敵するような緊張感溢れるアンサンブルになっています。
  
King Crimsonの影響を感じさせるヘヴィーなサウンドですが、様々な楽器が有機的に絡み合う様子は、きちんと作曲された作品であることを強く感じさせてくれますね。そのためか、ヘヴィーな印象のわりに、とても聴きやすい曲であるというのも大きな特徴でしょう。

このライヴに併せて、新譜(ミニアルバム)も発表されたようです。