2013年10月24日木曜日

「Live in Sporthalle Cologne」カン



ドイツ(当時は西ドイツ)のエクスペリメンタル・ロックバンドCanが、1972年にケルンのシュポルトハレ(Sporthalle)で行なったコンサートの映像。

曲は「Ege Bamyasi」(1972)収録の「Spoon」。

[members]
Holger Czukay(ベース、エレクトロニクス)
Michael Karoli(ギター、ボーカル、バイオリン)
Jaki Liebezeit(ドラムス、パーカッション)
Irmin Schmidt(キーボード、ボーカル)
Damo Suzuki(ボーカル)

この「Spoon」という曲はスリラードラマ「Das Messer」の主題歌として作られ、国内チャート6位の大ヒットとなったそうです。この成功により彼らは1972年2月にフリーコンサートを開催。この映像はその時のものです。

何と言ってもダモ鈴木が歌っている映像だというところが貴重でしょう。当時の国際派ヒッピー日本人を代表するような人物であるダモ鈴木は、世界各地を放浪の末、ミュージカル「ヘアー」出演のためにミュンヘンに滞在、路上でギターを弾きながら寄生を上げていたところろヤキ・リーベツァイトとホルガー・チューカイによって“発見”されたとのこと。そのまま即日ライヴに参加、以降1973年までCanの正式メンバーとなりました。

サイケデリックな音がミニマルミュージックのように淡々と続いていく当時のCanのサウンドに、メロディーも歌詞も判然としないダモ鈴木のボーカル・スタイルはフィットし、やがて「Future Days」(1973)という傑作が生まれることになります。

長髪の黒髪に赤とピンクのツートーンカラーの全身タイツというダモ鈴木の風貌は、元々アカデミック集団であったメンバーの中ではインパクト大です。他のメンバーが服装もステージングも地味なので、くねくね踊るダモ鈴木の異様さが目立ちます。

バンドのアンサンブルは完璧で、リズム・セクションは正確無比。そこにフリーフォームにギターの音を重ねるミヒャエル・カローニ、何かに取り憑かれたように笑いながら演奏するアーミン・シュミット、そして意味不明なジャグラー。構築と混沌が入り交じったステージです。

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