2013年10月17日木曜日

「Frippertoronics Demo 1979」ロバート・フリップ



1974年にKing Crimsonが解散した後、Frippertronics(フリッパートロニクス)という新しいシステムを開発してソロ活動を始めたロバート・フリップ(Robert Fripp)が、1979年にアメリカのTV番組「Midnight Special」に出演しFrippertronicsのデモンストレーションを行なった際の映像。

Frippertronicsとはアナログテープでプレイバックさせたギターに、更にギターを重ねて行く手法。二つのオープンーリール・テープ・レコーダーをループさせ、一台で演奏を録音しもう一台でタイミングをずらして再生させ、そこにまたリアルタイムに音を被せていくというもので、ソロ・ギターながら重層的な音世界を作り上げることができます。

こうした手法自体は、すでにブライアン・イーノ(Brian Eno)との共作「No Pussyfooting」(1973)の頃から見られましたが、当時はオーバーダヴなどによって表現していたもので、テープを使ったこのようなシステムは1975年のイーノとのヨーロッパ・ツアーからだそうです。

Frippertronicsという言葉は、こうしたシステムをインプロヴィゼーション主体のソロ・パフォーマンスで用いるようになってから、そのパフォーマンス全体を指して使われ始めたようですね。

この映像では「Starless and Bible Black」(1974)収録の「The Night Watch」を彷彿とさせる流麗で美しいギターソロを聴くことが出来ます。ディレイ・サウンドの特徴が活かされた、次々に打ち寄せるさざ波の音を聴くような穏やかで瞑想的な音世界ですね。

ちなみにFrippertronicsという造語は、当時の彼の恋人であった詩人Joanna Waltonによって命名されたものだとか。

1990年代になると機材のデジタル化が進み、Frippertronicsはより自由度と表現力を増したSoundscapeへと受け継がれていくことになります。


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