2013年4月13日土曜日

「Asia in Asia 1983」エイジア



イギリスのバンドAisaが1983年12月に初来日した際の武道館でのフル・コンサート映像。MTVによりアメリカ全土に衛生中継されたものを元にビデオ&レーザー・ディスク化されたものだと思われます。

オリジナルメンバーだったジョン・ウェットン(John Wetton)が直前の9月に解雇され(正式な理由は発表されておらず、アルコール中毒やスティーヴ・ハウとの確執などが取沙汰された)、急遽グレッグ・レイクがベース&ボーカルとして加入しています。

[members]
Greg Lake(ボーカル、ベース)
Steve Howe(ギター、バッキング・ボーカル)
Geoff Downes(キーボード、バッキング・ボーカル)
Carl Palmer(ドラムス、パーカッション)

[set list]
1. The Heat Goes On
2. Here Comes The Feeling
3. Eye To Eye

4. Steve Howe solo "Sketches In The Sun"
5. Only Time Will Tell
6. Open Your Eyes
7. Geoff Downes solo
8. The Smile Has Left Your Eyes
9. Wildest Dreams

10. Carl Palmer solo
11. Heat Of The Moment
12. Sole Survivor 

10月にメンバーとなったグレッグ・レイクは日本公演まで2ヶ月しかなかったため、バンドは11月半ばに来日してリハーサルを重ねていたとか。その甲斐あってか、グレッグは見事にバンドに溶込んでいます。さすがに歌詞はプロンプターに頼っていたようですが、映像を見る限りではそうした準備不足な様子もまったく感じられません。

その後ジョン・ウェットンが復帰するので(代わりにスティーヴ・ハウが脱退)、結果的には一時的な“代役”となったグレッグ・レイクですが、当時は新メンバーとして参加しており、そういう意気込みも感じられるステージになっています。

もちろん元々ジョン・ウェットンのボーカル用に書かれた楽曲ですから、音域や曲のイメージに違和感があるのは仕方ないところ。そうした先入観を捨てて楽しめば、若々しいメンバー達による活きの良いプレイが堪能できる素晴らしいライヴと言えるでしょう。

演奏で言えば特にスティーヴ・ハウのギターのスピード感とキレが凄いですが、視覚的な面では、珍しく横に並べられたキーボードの前を、演奏にバッキング・ボーカルに動き回っているバンダナ姿の若々しいジェフが印象に残りますね。

グレッグ・レイクとカール・パーマーというEL&Pの二人がメンバーに顔を揃えているというのも貴重です。もちろんグレッグ・レイクはKing Crimsonのオリジナル・メンバーですから、Yes、EL&P、King Crimsonの元メンバーによるスーパー・バンドであることに変わりはありません。

結局このメンバーではアルバムを残さなかったAsiaですが、例え一時期でもこのメンバーが顔を揃えたというのは今思えば奇跡的。そしてその内容も初期のAsiaの総決算的な楽曲による素晴らしいものだったと言えるのではないでしょうか。ちなみにスティーヴ・ハウのソロ・パートで演奏されるのは、後にGTRのデビューアルバム「GTR」(1986)に収録される曲です。

カタカナ縦書きの「エイジア」が、“日本”を演出した全米向けのライヴだったことを伺わせてくれますね。