2013年3月14日木曜日

「Progfest 1994」アネクドテン



スウェーデンが誇るヘヴィ・シンフォニックバンドAnekdotenの「Progfest 1994」におけるライヴ。
 
曲は1st「Vemod(暗鬱)」(1993)からの大曲「The Flow」をはさんで、前半がインプロヴィゼーション、後半がアルバム未収録のホルスト作「惑星」から「火星」のAnekdotenヴァージョン。King Crimsonの「In the Wake of Poseidon」(1970)に収録されている「Devil's Triangle」のカヴァーと言っても良いかと思います。


[set list]
1. Muscle Beach Benediction - Biceps At Play"
3. Wheel
4. Mars

[members]
Nicklas Berg(ギター、キーボード、ボーカル)
Peter Nordin(ドラムス、パーカッション)
Jan Erik Liljestrom (ベース、ボーカル)
Anna Sofi Dahlberg(メロトロン、チェロ、ボーカル)

King Crimsonからの影響は確かに大きいのですが、King Crimsonの力強さとは別の、奈落に落ちていくような薄暗さと叙情が渦巻きます。

ニクラスはギターだけでなくメロトロンもメインに弾いています。いわゆるハードロックやヘヴィ・メタル的なギターソロは控え目で、ヤンの轟音ファズ・ベースサウンドと共に、彼のギターが繰り出すリフがAnekdotenサウンドの核と言って良いかもしれません。彼らの曲はメロディー以上にリフでジワジワ迫ってくるのが特徴ですね。

もう一つ彼らの大きな特徴と言えるのが、メロトロンの使い方・聴かせ方の上手さ。これは昨今のヴィンジェージ・バンドが束になっても叶いません。実にドラマチックにメロトロンを鳴らすことができるのです。これはもうセンスと愛のなせるワザでしょう。

もちろんメロトロン頼みではなく、アンサンブルの素晴らしさも一級品。特にペーターのドラムスは今のテクニカルなドラミングとは違った、70年代的魅力に満ちています。

この当時はアンナがチェロを弾く場面が多く、低音で弦が擦れる音がまた怪しくも激しい彼らのサウンドに合っておりました。