2020年8月10日月曜日

「Pale Sky」メインホース(Mainhorse)

のちにレフュジー(Refugee)、イエス(Yes)、ムーディー・ブルース(Moody Blues)で強烈な存在感を放つことになるキーボード奏者パトリック・モラーツが在籍していたバンド、メインホース(Mainhorse)のスイスのTV用に収録されたライヴ映像。おそらく唯一作「Mainhorse」が発表された1971年とのこと。

曲はその唯一作から「Pale Sky」。

[members]
Peter Lockett:リード・ギター、バイオリン、ボーカル 
Patrick Moraz:ピアノ、オルガン、シンセサイザー、オルガン、シンセサイザー、グロッケンシュピール、ボーカル
Jean Ristori:ベース、チェロ、ボーカル
Bryson Graham:ドラム、パーカッション
 
1969年にパトリックとジーンの二人がスイスからイギリスへ渡り、メロディー・メーカー誌でメンバー募集し、母体となるグループが生まれます。その後、一旦スイスに戻りますが、メンバーチェンジやバンド名の改名などを経て再び渡英し、ポリドールと契約して発表したのが、唯一作となる「Mainhorse」です。
 
1971年と言えば、その後に加入するイエスが「こわれもの(Fragile)」を、ムーディー・ブルースが「Every Good Boy Deserves Favour(
童夢)」を発表した年。ほかにもピンク・フロイド(Pink Floyd)が「Meddle(おせっかい)」を、そしてエマーソン、レイク&パーマーが「Tarkus(タルカス)」を発表するなど、まさにプログレ的なバンドだけを見ても、ものすごい勢いで新しいサウンドが開花してゆく真っ只中と言って良い頃です。
 
メインホースは、これらのバンドたちと比べるとハードロック要素が強く感じられますが、それはピーターのギター・サウンドによるものでしょう。それでも、プログレ的な魅力があるのは、もちろんジーンのチェロの導入というハードロックの枠をはみ出すプレイもありますが、それも曲展開の自由さあってのことであり、その自由さのかなめになっているのが、パトリックのキーボードの多彩さだと言えるでしょう。
 
サウンド的には、やはりエレクトリック・ピアノの響きが独特ですし、クラシカルな落ち着きとテクニックに裏打ちされたパトリックのプレイが、ハードロック的なギターに負けていません。それどころか、両者が混じり合うことで、独特のメインホース・サウンドを作り出していますね。
 
そして、テクニックに関しては、全員がテクニシャン。新人らしからぬ落ち着きが漂っています。一枚で解散してしまったのが、実に残念なバンドです。


  

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